年金を払う・払わない お得なのはどっち?老後2000万円問題と共に考える

年金の支払いは国民の義務です。

はじめに:年金、払う意味あるの?と疑うあなたへ

「年金なんてどうせもらえない」
「払うだけ損じゃないの?」

そんな声をよく耳にします。実際、年金制度に不信感を持つ人は少なくありません。特に「老後2000万円問題」が話題になって以降、将来の生活に不安を感じる人が一層増えています。

しかし結論から言うと、年金は「払わないと損」ではなく、「払わないと危険」です。本記事では、その理由を具体的な数字や制度の仕組みを交えて丁寧に解説していきます。


第1章:年金制度の基本構造と支払義務

1-1. 年金は「社会保険」、払わない選択肢はない

年金制度は「保険」の一種です。国民全員が加入義務を持つ「国民皆年金」制度で、20歳から60歳までの40年間、原則保険料を納めます。

  • 自営業やフリーランス:国民年金(月額16,980円 ※2025年現在)
  • 会社員・公務員:厚生年金(収入に応じて金額変動、折半)

年金は義務。つまり**「払わない」という選択は基本的に存在しない**という前提です。未納は滞納と見なされ、財産差し押さえや最悪刑事罰に至ることも。


第2章:年金を払うと何が得なのか?

2-1. そもそも「老後にもらえる金額」は?

  • 国民年金のみ:年間約80万円(月約6.6万円)
  • 厚生年金+国民年金:平均約220万円(月約18万円)

厚生年金は、年収や勤続年数によって金額が変動しますが、ざっくり現役時代の約5割と見ておけば良いでしょう。

2-2. どれだけ払って、どれだけもらえる?

例:自営業のAさん(国民年金のみ)

  • 40年間納付:
    16,980円×12か月×40年=約815万円
  • 65歳から85歳まで受給(20年間)
    年80万円×20年=1,600万円

払った金額の約2倍を受け取れる計算!

例:会社員Bさん(厚生年金込み)

  • 平均年収500万円で40年間勤務
    → 総納付額:約1,200万円(会社と折半で実質600万円)
  • 年間受給額:約200万円
    → 20年間受給で4,000万円!

実質払った金額の6倍以上のリターン!


第3章:もし払わなかったらどうなるか?

3-1. 老後の収入ゼロのリスク

年金未納・未加入だった場合、65歳からの「定期的な収入」が一切ありません。生活保護に頼るしかなくなる可能性も。

3-2. 年金は「老後のお小遣い」ではない

よくある誤解が、「年金はあくまで+α、貯金すればOK」という考え方。しかし年金は老後のベース収入。厚労省の調査では、夫婦2人の最低限の生活費は月22万円前後。年金がなければ月々十数万円の赤字になります。


第4章:老後2000万円問題とは何か?

4-1. 2000万円必要の意味

2019年に金融庁が発表した報告書で、次のような記述が話題になりました。

「夫婦2人の世帯では、年金収入だけでは月5万円程度赤字になり、30年間で約2,000万円の資産が必要」

このレポートが「老後は年金だけじゃ生活できない!」と騒がれました。

しかし実際は、

  • 報告書は「平均的な家計」であって、すべての人に当てはまるものではない
  • 年金の受給額が少ない人(国民年金のみなど)は要注意

つまり、年金が「足りない」から2000万円必要なのであって、「いらない」わけではないということです。


第5章:年金以外の手段で老後に備えるには?

年金だけでは心許ない場合、他の備えも検討すべきです。

5-1. iDeCo(個人型確定拠出年金)

  • 掛け金全額が所得控除され節税効果あり
  • 60歳まで引き出せないが、年金の補完として有効

5-2. つみたてNISA(2024年から新NISA)

  • 年間360万円まで非課税で運用可
  • 長期投資で資産形成

5-3. 不動産投資や副業も手段の一つ

リスクはあるものの、複数の収入源を持っておくことで老後の不安を軽減できます。


第6章:年金の「払わないリスク」は3重苦

  1. 老後の収入がゼロ
  2. 障害を負っても保障がない
  3. 家族への遺族年金も受け取れない

年金は「老後」のためだけではなく、障害を負った時や死亡した時の社会的保障制度でもあります。

→ 未納者にはこういった「保険機能」すら働かない。


第7章:制度は変わっても「払うのが得」である理由

将来的に受給開始年齢が70歳以降になる可能性もあります。また金額が減る可能性もある。

しかし、いかに制度が変わろうとも、

  • 納付額以上にリターンがある
  • 民間の年金では代替できない
  • 保険機能付きでリスクヘッジできる

という点において、「払わない」より「払う」ほうが圧倒的に得なのは変わりません。


まとめ:結論は「払わないと損」ではなく「払わないと詰む」

比較項目払う払わない
老後の収入ありなし
障害時の保障ありなし
遺族保障ありなし
保険機能ありなし
将来の安心感高い極めて低い

年金は「義務」であり、「最低限の社会保障」でもある。

仮に将来、制度が多少変わっても、それでも払った方が得です。特に、老後に月数万円の収入差が命取りになることを忘れてはいけません。


あなたにできることは?

  • 未納期間があるなら追納を検討
  • iDeCoやつみたてNISAなども併用して資産形成
  • 不安があるなら社会保険労務士などに相談を

老後に「もっと払っておけばよかった」と後悔する前に、今からしっかり備えていきましょう。